「告白」湊かなえ

 



「告白」湊かなえ


湊かなえのデビュー作。2008年度の週刊文春ミステリーベスト10で1位にランクインした作品。友達Rさんからのおすすめ。今更感ありますが、たまたま母が持っていたので読んでみました。


主人公の中学理科教師の告白から始まり、最終章での告白で終わります。ストーリーとしては娘を殺された主人公の復讐劇が繰り広げられます。先が想像できない、早く読みたいということから、スラスラ読めました。章ごとに語り手が変わる構成で、それぞれの登場人物視点で話が進んでいく作りにより、飽きず読み進めていけました。一章でダラダラ話していたことは全ての章に繋がる伏線であり、すべての章で話が網羅的に繋がった時はなんだか優越感に浸るような気分になりました。二人の犯人に対して、それぞれを苦しめるような制裁を加えるところも面白かった。


学校現場の雰囲気等も繊細に描かれていて、教員の実習を経験した僕にとっては共感できることが多かったです。

・生徒自身を見るのではなく、生徒の表面に映る自分の姿を見てうっとりする先生(ウェルテル)

・ウェルテルを馬鹿にする生徒

・他人から賞賛されたいという願望が生むいじめのメカニズム


作者はこの話を通して、生徒を表面でしか評価しない教師(親)・いじめを起こす生徒に対してメッセージを送りたかったのかなと感じられます。憎しみがまた憎しみ生むこともメッセージとして受け取れます。


映画も見ましたが、断然原作の小説派です。映画では一つ一つの情景が雑に扱われていた印象でした。この作品を1時間半に散りばめるのは至難の業だと感じました。


著者のエッセイ・他小説を読破しよう思います。

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中学時代、僕は先生からよく怒られていました。僕が行った行動の根底となるのが賞賛獲得欲求によるものだと思います。その動機を理解せずにうやむやに怒る教師。学校現場でよくある、この関係性ってなんだか虚しいですよね。






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